経営戦略実現を担う、人事部門の新たな役割 |株式会社ライフワークスタイルラボ

経営戦略実現を担う、人事部門の新たな役割

2024.08.07

今回のインサイトは「将来に向けた人材を強化するための効果的な手法とは?」がテーマ。

生産性向上に伴奏するCXかえる事業部のコンサルタントが、企業の管理部門が抱える悩みのひとつである組織の生産性を高める方法について、「人材・組織・環境」の面から成功のポイントをお伝えしていきます。

コンサルタント プロフィール

株式会社ライフワークスタイルラボ
CXかえる事業部
ソリューション開発・企画グループ
シニアマネージャー 飯島宗裕

ベンチャー企業の人事責任者、人事コンサルタント、研修講師など人材開発や人材育成に携わって20年以上。
教育制度や評価制度の構築及び「働きがい」「働きやすさ」を生み出す研修や組織開発を得意としている一方、日本酒コンサルタントとしても活動。
「人づくり、酒づくりの専門家」として活躍中。

中小企業診断士、利酒師。

本気で「人」に向き合っているか?

 一般社団法人日本能率協会が実施している「当面する企業経営課題に関する調査によると、企業が当面する経営課題は「現在」「3年後」「5年後」のすべてで「人材の強化」が最も多かったという結果となりました。

また、経営資源は「ヒト・モノ・カネ」と言われますが、その最初に「ヒト」がくるほど人という資源は重要視されており、「人は石垣、人は城」ということわざも聞いたことがある人が多いと思います。

しかし、これらのこととは裏腹に、企業が本気で「人」に向き合っていないように感じることがあります。なぜかというと、以下のような光景を目にしたりすることが多いからです。

・採用面接はやっているけれども、会社も応募者も不十分な情報のやり取りで判断している。
・研修はやってはいるけれども、やりっぱなしで、学びを成長に活かす仕組みを創っていない。
・評価制度はあるけれども、運用が形骸化してしまい、単なる負担の大きい作業となっている。

これらの事象は、営業部門や製造部門などとは違い、人事部門が企業に直接利益を生み出す「プロフィットセンター」として機能しておらず、結果として「ヒト」という経営資源を軽んじており、経営が本気で取り組んでいないことから起きているのでは、と私は考えます。

自社にとっての「優秀な人材」を把握しているか

 人材の強化は確かに重要です。
では、どのように強化すべきなのかを、経営や人事担当者は明確にしているでしょうか。
そもそも、現在や将来の自社にとって必要となる「優秀な人材」を把握しているのでしょうか。

一般的には「優秀な人材」=「仕事ができる人材」としてとらえていると思います。
では、「あなたの会社にとっての仕事ができる人材とは何ですか」と尋ねると、残念ながら
明確に答えられる人事担当者はほんの一握りです。

このような状態で、募集・採用、配置、育成、評価などを行ったとしても、それぞれがうまく機能せず、適正な人材の強化はできません。

企業によって理念や経営計画が異なるように、求められる人材も企業によって異なります。
そのため、人材の強化を行うためには、まず企業が「現時点もしくは将来的にどのような人材が必要なのか」を明確にしなければなりません。
言い換えれば、経営戦略と人事戦略をつなげる必要があるのです。
近年ではその重要性が企業に認識されはじめ、「戦略人事」という考え方が生まれ、広まりつつあります。

今一度、戦略的に人材強化を考える

 「採用面接を行う、研修を実施する、評価制度を導入する」これら自体に問題があるとは言いません。

ただし、
・会社の成長を見越し、これから必要とされる人材像を把握したうえで、適正な採用を行う
・現時点で不足している事項、これから必要とされる事項を把握したうえで、適正な研修を行う
・組織の成長のために必要となる人材要件を把握したうえで、適正に評価制度を運用する
といったことが求められます。

人材の強化は「人事」という枠内で考えては効果が期待できません。
「経営」という長期的かつ広範囲で考え、戦略的に行うことで高い効果が期待できます。

そして、この戦略人事の導入は人事部門をプロフィットセンターとして機能させることとなり、
経営戦略の実現だけでなく、組織全体が本気になって「人」に向き合う土台となります。
その土台作りを行い、組織を活性化させることが、人事部門に求められる新たな役割だと思うのです。

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戦略人事の実現を担う、人事部門の新たな役割

 企業が当面する経営課題は何か、というアンケートにおいて、「人材の強化」が最も多かったというアンケート結果が発表されました。
一方、人材は大切だと言いながらも、採用・育成・評価などに課題があり、その原因として「会社が
本気でヒトという経営資源に向きあっていない」ケースが多く見られます。
では、このアンケートの結果と現状のギャップはどこから生まれるのでしょうか。

確かに、営業や製造部門などと違い、人事部門は直接利益を生み出す
「プロフィットセンター」ではないため、経営から軽視されがちかもしれません。

しかし、そのプロフィットセンターの成果向上を支援し、経営戦略や経営計画を
達成するためには、人材強化は必要不可欠です。

今回は「人材開発」の視点から、この課題解決の手法について、事例を交えて解説します。

【おまけ】利酒師 飯島の今日の一杯

私は日本酒のコンサルタントもしています。

皆さんは、杜氏(とじ)という言葉を聞いたことはないでしょうか。

杜氏は酒蔵で働く酒造りの職人(=蔵人)の監督・統率を行う製造責任者なのですが、人材の強化も重要な役割の1つでした。
ここで大切なのは、杜氏自身も日々良いお酒を造ることを目的として腕を磨いているということ。
さて、企業では自分の能力を高めている経営者はどれほどいるでしょうか。
リーダー自らが成長する意欲がないのに、部下にだけ成長を求める企業は、今以上の発展が見込めないように思います。

『農口尚彦研究所』は、「酒造りの神様」「能登杜氏四天王」と言われている野口尚彦杜氏の技術を受け継ぎ、素晴らしいお酒を醸しています。
野口氏は、一度は酒造りから身を引いたものの、その技術を伝承するために酒造りに戻り、今も学び、そして挑戦を続けています。
その味は野口さんらしさにあふれた、至高の一杯となっています。

みなさん、今日もお疲れ様でした。
美味しい一杯で、乾杯しましょう。

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