「エンゲージメントを高めるということ」と「柔軟な働き方」について
2024.10.29
今回のインサイトは「働く環境を変えてエンゲージメントを高めるためには?」がテーマ。
生産性向上に伴奏するCXかえる事業部の専門家が、企業の管理部門が抱える悩みのひとつである組織の生産性を高める方法について、「人材・組織・環境」の面から成功のポイントをお伝えしていきます。
目次
専門家 プロフィール
株式会社ティーズブレイン 取締役執行役員 兼 株式会社ライフワークスタイルラボ
CXかえる事業部
ソリューション開発・企画グループ部長
東京大学大学院共同研究
「はたらくコンソーシアム」事務局長
森 美香
豊富な働き方コンセプトメイクと生きたオフィス環境づくり、東京大学大学院との共同研究にて培ったアカデミックな知見を融合させ、様々な企業の「自社らしい働き方」追求のお手伝いに駆け回る。
コンサルティングのみならず、多くのイベントで講演・講師としても活躍中。
2024年からは東京大学大学院稲水准教授と共同設立した「はたらくコンソーシアム」事務局長として、
日本の働き方と組織のあり方に革新をもたらす取り組みを実践中!
はじめに
「エンゲージメント」という言葉を聞いて、皆さんは何を連想されますか?
私は職業柄様々な立場の方とお話する機会が多いのですが、「エンゲージメント」という言葉には様々な意味が含まれていて、人によって解釈が異なるように思います。
エンゲージメントについては色々な文献がありますが、あらためて調べてみると、企業においては「対従業員」と「対顧客」の2種類があって、さらに「対従業員」においては学術的には「組織コミットメント」と「ワークエンゲージメント」の2つに大別されるようです。
このコラムでは特に「組織コミットメント」と「ワークエンゲージメント」を高めるということに触れたいと思います。
「組織コミットメント」と「ワークエンゲージメント」
まずは「組織コミットメント」ですが、こちらは、組織と個人が良好な状態を示しています。
良好な状態とはつまり、会社に対して愛着や一体感を持っていることです。
ちなみに、学術的には組織コミットメントは更に「情緒的コミットメント」「存続的コミットメント」「規範的コミットメント」の3つに大別されると言われています。
組織と個人が、会社の理念や目的に共感し、一体感や愛着を感じるといったような感情でつながっている(情緒的コミットメント)のか、お金や条件でつながっている(存続的コミットメント)のか、忠誠心的なものでつながっている(規範的コミットメント)のかというところの違いともいえます。
いろいろな考え方があるかと思いますが、変化が激しく先の見通しがたてにくい、転職があたりまえとなった昨今、組織にとってはこの「情緒的コミットメント」の高い社員をいかに増やすかということが問われてくるのではないかと思います。
一方、「ワークエンゲージメント」は、仕事と個人が良好な状態を示しています。
学術的には「仕事全般に関するポジティブで充足した状態」と定義されるようですが、一般的には「熱意・没頭・活力」の3つで構成されると言われています。
つまり、自分の仕事に誇りを持っていたり、仕事に没頭していたりしている状態が、ワークエンゲージメントが高い状態と言えます。
こう見ますと、先述の「情緒的コミットメント」とこの「ワークエンゲージメント」はなんとなく関連性があるようにも思います。実際のところ、このワークエンゲージメントが高い層ほど、情緒的コミットメントが高いという相関性があるという調査結果もあるようです。
柔軟な働き方とワークエンゲージメントの相関性について
さらに、オフィス勤務1択だけの状態と、オフィス勤務や在宅勤務、そしてシェアオフィス勤務も可能なハイブリッド勤務の状態との比較をしてみると、ハイブリッド勤務型のほうが組織コミットメントが高いといったことや、ワークエンゲージメントの高い層と低い層との比較をしてみると、柔軟な働き方ができているか否かというところがその差につながっているという調査結果も見られたりします。
柔軟な働き方とは、状況に応じて、働く場所や勤務時間をより柔軟に変えられるという働き方です。
働く場所というのは事務所だけでなく、自宅でも、シェアオフィス等のサードプレイスも対象にはなってきます。
高いワークエンゲージメントの副作用として、「バーン・アウト」には気をつけなければいけません。夢中で働きすぎて心身の不調をきたす…いわゆる「燃え尽き症候群」です。
そのため、業務改善を図る工夫をしたり、適度にリフレッシュできるような環境を整えたりといったような、心と時間のゆとりが持てる工夫も必要かと思います。そういった意味でも「状況に応じて。働く場所や勤務時間をより柔軟に変えられるという働き方」は効果的なのではないかと思います。
柔軟な働き方を促して、エンゲージメントを高めるために
では、その柔軟な働き方を促して、エンゲージメントを高めるためには何をなすべきか?
ハイブリッドな働き方ができるような仕組み・制度を整えたり、ABWオフィスといったように柔軟な働き方をオフィス内でも促せるような設えにすることも、もちろん施策としては有効なのですが、大前提として、自社のビジョンや理念を踏まえた上で、自社の目指す働き方を明確にすることがまずは必要だと思います。
また、ハイブリッドな働き方といってもその範囲や程度は様々で、これが正しいというものはなく、企業の考え方次第です。
よって、現状の自社社員の働き方をしっかり見える化し、目指す姿とどこまでギャップがあるのかを継続的に把握し、状況に応じて柔軟にPDCAを回していくことも必要です。
そして、もし柔軟な働き方にしていきたいのだけれど、現在まったく柔軟な働き方とは程遠い…という状態であればあるほど、上司と部下、他部署との関係性の質の向上といったこともあわせ技でみていくことも大切なことだと思います。
みなさんの会社の「働き方の柔軟度」はいかがでしょうか?
【無料ウェビナーのご案内】「働く環境を変えてエンゲージメントを高めるには?」
在宅勤務中心からオフィス出社中心へと切り替える企業の多くは、「エンゲージメント向上」という課題が背景にあると思われます。では、エンゲージメントを高める職場環境とはどういったものなのか?「働き方」というところにフォーカスしてお話します。
コロナ禍が落ち着き、在宅勤務からオフィス出社へと働き方の舵を切り直す企業が増えています。
それは、ほぼコロナ前に戻ったかのような通勤電車の混み方を見てもわかります。
多くの企業がオフィス回帰の選択をする理由には、コミュニケーションの量と質を上げて、エンゲージメントを強化するところにあると思います。
ただ、オフィス出社を「強制」することだけが、真のエンゲージメント強化につながるのでしょうか?
キーワードは「柔軟な働き方」。本セミナーでは、エンゲージメントを高めるためのポイントを、学術的な知見を交えながら、「柔軟な働き方」という視点でお話致します。
「自社の働き方を見直しして、従業員エンゲージメントを高めたい」「出社率を高めたい」といった悩みを持つ経営者・管理部門の皆様にぜひ参加いただければ幸いです。
【おまけ】故郷を愛する食いしん坊大臣 私の愛しのソウルフード
今年は残暑が厳しくて、9月になってもなかなか涼しくならないですね…。
暦の上では秋ですけれど。
さて、秋の味覚の一つといえば、「柿」。
実は我が故郷の岐阜県は、「富有柿」の発祥の地と言われています。まんまるでちょっと大きめの柿なんですよね。
この富有柿を頂くと、秋も深まってきたな~…と実感します。干し柿も美味しいですよね。
そういえば、前回ご紹介した「恵那川上屋」さんで見つけたのですが、この干し柿で栗きんとんを包んだお菓子もあります。
頂いたことがあるのですが、栗きんとんと干し柿って意外に合うんです。
あ~また食べたくなった!