社内の人材を活躍させるには ~今までの研修や評価では成しえない、日本企業の明るい未来~ |株式会社ライフワークスタイルラボ

社内の人材を活躍させるには ~今までの研修や評価では成しえない、日本企業の明るい未来~

2024.11.26

今回のインサイトは「社内の人材を活躍させるには」がテーマ。

生産性向上に伴奏するCXかえる事業部の”らしく働くプロデューサー”が、企業の管理部門が抱える悩みのひとつである組織の生産性を高める方法について、「人材・組織・環境」の面から成功のポイントをお伝えしていきます。

らしく働くプロデューサー プロフィール

株式会社ライフワークスタイルラボ
CXかえる事業部
ソリューション開発・企画グループ
シニアマネージャー 飯島宗裕

ベンチャー企業の人事責任者、人事コンサルタント、研修講師など人材開発や人材育成に携わって20年以上。
教育制度や評価制度の構築及び「働きがい」「働きやすさ」を生み出す研修や組織開発を得意としている一方、日本酒コンサルタントとしても活動。
「人づくり、酒づくりの専門家」として活躍中。

中小企業診断士、利酒師。

パワーを失った日本企業

 京セラ創業者の稲盛和夫氏は次のように語っています。
「私たち日本人は農耕民族であったため、毎年、同じ時期に同じことをしていれば、それでうまくいくと思い込んでいるところがある。一方、狩猟民族であった欧米の人々は、同じことをしていては獲物は捕れないことを知っていて、常に変えること、進化させることが習い性になっている。これからは欧米の国々と厳しい競争をしなければならないので、日本人は『これでいいのか、これでいいのか』と常にクリエイティブに考える習慣が大事だ」

私が社会人になったのは、バブル経済が崩壊した直後だったにもかかわらず、まだ日本企業にはパワーがみなぎっており、世界に誇れる会社が何社もありました。しかし、今、日本企業は世界的に見て競争力が弱くなり、放出するパワーも低下しています。そのパワー低下の原因は、人材を活躍させられていない、ということが原因のように感じます。

先の稲森和夫氏の言葉は日本企業における「人材を活躍させる」という課題にも一石を投じます。

 日本企業において、社員教育として階層別研修が広く導入されています。新人研修、係長研修、管理職研修など、私も多くの研修を設計し、講師として登壇しています。が、この階層別研修は「農耕民族型の教育」なのです。そもそもこの社員教育の形態は高度成長期に誕生しました。それまでは「現場で覚えろ」というOJTが主流だったのですが、高度成長期には「同じ作業・仕事ができる人を数多く必要としていた」ため、効率的に教育する必要があったのです。裏を返せば、誰かの突出した才能を伸ばす教育ではなく、誰もが指示した成果を出す教育をしていたということであり、「農耕民族型」と言えるのです。
また、評価についても「農耕民族型」と言えるでしょう。研修と同じように、「個々人の特性を評価する」のではなく、「等級別に定められた項目・基準で評価する」ということが日本企業では今でも多く行われているのです。
 
 今取り組まれている階層別研修や評価を否定するわけではありません。それらの効果はありますし、だからこそ私どももそれらのサービスを提供しています。しかし、常にクリエイティブであり続ける企業になるためには、研修や教育制度、評価制度を見直す必要があり、狩猟民族型に転換しなくてはならないのではないでしょうか。そして、その転換が必要な日本企業は急増していると考えられます。

挑戦する人材を生み出すには

 活躍する人材とは何か、という定義によって考え方はいろいろあるのですが、ここでは「挑戦する人材」として考察していきたいと思います。昔、私が人材育成学会に所属していた時、同じ学会員だったサイバーエージェントのCHOである曽山哲人さんのお話を聞く機会がありました。離職率が高い組織をどうすれば良いかを考えて様々な取り組みを行い、今では87%の社員が働きがいを感じている会社に変えていったのです。「会社の目指す未来やパーパス(存在意義)と自身の存在意義とのつながりが、働きがいを生み出す」という曽山さんの考え方は、私の今の組織変革サポートの根幹でもあります。そして、私が曽山さんの話で最も印象に残った言葉が「挑戦と安心はセットにする」というものです。

どの企業でも、今のままではダメだ。何か変えなくては。と考えているでしょう。
それは先に述べた農耕民族型であろうとも、周囲の環境の変化によって変わらざるを得ない状況になったからです。しかし、もともと変化ということに慣れていないこともあり、どのように変化すればよいのか、挑戦すればよいのか、を知らない企業が多いように感じます。

「アイデアを出した人が強制的にやらされる」
「責任は与えられるが、権利はもらえない」
「挑戦する人以外(周囲)は我関せずとなり協力しない」
「成功しても大きな評価や見返りが無く、周囲から嫉妬される」
「でも、失敗したら叱責され処罰を受け、周囲から嘲笑される」
上記のような誤った挑戦が蔓延していませんか?

サイバーエージェント社には、「新しい事業をやりたい人は仲間を募り、その内容を経営にプレゼンし、認められればその実現を支援する」という制度があります。この制度のポイントは、「いつまでにこれだけの成果が無ければ、その事業を撤退する。」という決め事があることです。挑戦にはリスクがつきものです。しかし、それを恐れては挑戦ができません。そこで、「撤退条件」という安心をセットにして、その条件まで全力でやらせるという仕組みを作ったのです。その結果、新しい事業がいくつも誕生し、やりがいのある職場づくりにつながっています。

当然ながら、サイバーエージェント社のやり方をそのまま真似ろとは言いません。しかし、挑戦のさせ方として「挑戦と安心はセットにする」方法は有効だと思います。その土壌を用いた「挑戦・活躍させるしくみ」を、ぜひ創造してください。

活躍させる場づくり(HR EXPOの経験より)

 私自身、2024年の10月に幕張メッセで開催されたHR EXPOという展示会で挑戦を行いました。
一番の目的は「当社のサービスを来場者に知ってもらう」ことだったのですが、実はもう一つの裏の目的がありました。それは、「当社の若手社員を活躍させること」です。
では、どのようにやったのか。流れに沿った要点だけの記載となりますが、参考になれば幸いです。

① 目的・目標の共有
② 上記を達成するためのチームのルールづくり
③ メンバーの一体化度を高めるためのシンボル(曲)づくり
④ やるべきことのイメージ化(リーダーの熱量の高さを示す)
⑤ メンバーの巻き込み(リーダーと同じ熱量にもっていく、役割分担)
⑥ 展示会場での笑顔(笑う門には福来る、メンバーを笑わせる、熱量を失わせない)
⑦ メンバーへの信頼と責任感の発生(いつの間にかリーダーより熱量が高くなっていた!)
⑧ 目標達成(①で掲げた目標達成)
⑨ ご褒美(懇親会の実施、クールダウン?)

このケースはリーダー含めた少人数で行ったものですが、短期間で若手社員の意識と行動が大きく変わりました。このような場(機会)を増やせば、挑戦する企業風土ができるのだと思います。
参考になれば幸いです。

最後に

 これまで述べたように、日本企業は今まさに踏ん張りどころだと思います。日本企業は「大きくする」ことよりも「強くする」こと、それに伴い、人材は「量をこなす」ことよりも「質を高める」ことが求められています。これは、あらゆる業界で問題になっている人手不足の解消にもつながり、利益を出せる経営体質構築にもつながります。一方で、長年の経験、とくに昔の成功体験から農耕民族型から狩猟民族型に脱却できない企業や経営者が多いのも事実です。従業員一人ひとりの育成も大切ですが、まずは企業そのもの、つまり経営者の「社内の人材を活躍させる組織づくり」を成し遂げる「覚悟」が必要だと、私は考えます。

【無料ウェビナーのご案内】
社内の人材を活躍させるには?
~今までの研修や評価では成しえない、日本企業の明るい未来~

「同じ時期に同じことをする」 という農耕民族型の考え方。
「常に変えること、進化させる」 という狩猟民族型の考え方。
高度成長期から、日本の企業は農耕民族型の人材育成や評価を行ってきました。
その結果、世界の中で競争力を失いつつあります。

変えなくてはいけない。多くの経営者や人材育成担当者の方は思っていることでしょう。
しかし、正しい「変え方」を知っている経営者や人材育成担当者は少ないように感じます。
その結果、社内の人材を活躍させることができず、変化が生まれないケースを多く目にします。

今回のウェビナーでは、日本企業はどのような変化が求められているのかの背景を説明した後、
社内人材の活用方法とプロセスについて事例をもとに解説します。

【おまけ】利酒師 飯島の今日の一杯

私は日本酒のコンサルタントもしています。

酒造りの業界は、昔からあまり変化のないようなイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、最近では様々な挑戦が進められています。

今回は新たな取り組みに挑んでいる2蔵を紹介します。
京都府にある木下酒造の杜氏はオックスフォード大学卒業のイギリス人、フィリップ・ハーパー氏。「ロックで飲む日本酒」として「Ice Breaker(アイスブレーカー)」を開発。
氷の解け具合によって味わいが変わる、スッキリ飲みやすい夏酒です。日本人の持っている「日本酒はそのまま飲む」という固定観念を破った商品ですが、ちなみに、この蔵で醸している「玉川」も個人的におススメです。

宮城県にある萩野酒造は、毎年10月1日のメガネの日に「全員メガネの蔵人だけで造ったお酒」を販売しています。その名も「メガネ専用」。
味にメガネがどんな影響があるのかは謎ですが(笑)、スッキリとした後味でとても評判が良いお酒です。

若い世代の蔵元が様々な工夫を凝らしている今、日本酒市場の未来は明るそうです。
(私はその未来を応援するために飲み続けます!)
感謝。

みなさん、今日もお疲れ様でした。
美味しい一杯で、乾杯しましょう。

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